「潮は流れているのに仕掛けが入っていかない」「ウキと違う方向に流される」
釣行中にこんな経験をして、船長やベテランの方に「あ〜、今は二枚潮(にまいじお)だからね」と言われたことはありませんか?
二枚潮は釣り人にとって非常に厄介な状況ですが、実は海の中では「水温」や「風」の影響などで頻繁に起きている物理現象です。原因と対策さえ知っていれば、周りが苦戦している中で一人だけ釣果を伸ばすチャンスに変えることも可能です。
この記事では、二枚潮の正体と発生メカニズム、そして具体的な攻略法をご用意いただいた図解とともに解説します。
1. 二枚潮(にまいじお)とは何か?
二枚潮とは、海面付近(上潮)と海底付近(底潮)で、潮の流れる方向や速さが異なっている状態を指します。

通常、潮は一つの大きな塊として動くのが理想的ですが、二枚潮の状態では、まるで上下を逆走する動く歩道のように、層によって別々の動きをしています。
- 上が右に流れているのに、底は左に流れている(逆方向)
- 上は激流なのに、底は止まっている(速度差)
なぜ二枚潮が発生するのか?
二枚潮は主に以下の物理的な原因で発生します。
- 水温・塩分濃度の差:真水(雨水)や温かい水は軽く、冷たい水や塩分が濃い水は重くなります。雨や河川からの流入により軽い水が重い水の上に乗り上げると、水と油のように分離して別々の動きを始めます。
- 風(吹送流):強い風が吹くと、海面の水だけが無理やり風下に滑るように流されます。底は動いていないのに表面だけ激流、というケースはこれが原因のことが多いです。
2. 二枚潮だと何が起こる?釣りへの物理的な影響

二枚潮が発生すると、釣りには以下のような「釣りにくい」現象が次々と起こります。
その最大の原因は「糸フケ(ラインスラック)」です。
① 仕掛けが制御不能になる
上の図のように、表層と底層の流れが違うため、道糸(ライン)や仕掛けが海中で「つ」の字や「S字」に大きく蛇行します。
こうなると、多少竿を動かしてもラインのたるみが動くだけで、肝心の仕掛けには力が伝わりません。
② マキエとサシエが同調しない
フカセ釣りでは致命的です。撒いたコマセ(撒き餌)は右へ、沈めたサシエ(針)は左へ流れるといった状況になり、作り出したポイントを活かすことが極めて困難になります。
③ 底が取れない・アタリが消える
ラインが張っていないため、オモリが着底したかどうかや、アタリの衝撃がたるみに吸収されて手元に伝わらなくなります。
気づかないうちにラインを出しすぎてしまい、結果として根掛かりが多発したり、隣の人と糸が絡むオマツリの原因にもなります。
3. 図解でわかる!二枚潮の対策方法
二枚潮を消すことはできませんが、仕掛けや釣り方を工夫すれば、影響を最小限に抑えることは可能です。
対策①:仕掛けを重くして「張り」を作る

最も基本的で即効性があるのが「仕掛けを重くする」ことです。
ルアーの場合はルアーを重くしたり、フカセ釣りであればガン玉を追加したりすることで、潮流の抵抗に負けないように仕掛けを引っ張ります。
「張り」を作ることで、着底の合図や魚のアタリが伝わりやすくなります。
特にジギングにおいては比重の重いタングステンのジグを使うことで、シルエットを小さくできるので潮の影響を受けにくくなります。
対策②:ウキやラインを「沈めて」表層の潮を避ける

風や表層の流れが速すぎて邪魔な場合は、「表層を無視する」作戦が有効です。
フカセ釣りでは、00号や000号といった浮力のないウキを使い、ウキごと海中に沈めてしまう(沈め釣り)のが効果的です。
また、穂先を水中に入れてライン全体を海面下に沈めることで、表面を滑る上潮や風の影響を受けづらくなり、本命の潮(底潮)に仕掛けを乗せることができます。
対策③:ライン操作でカバーする
キャスト後、ラインを「潮上(流れの上流)」に置き直します。(ラインメンディング)
あらかじめ表層の潮の流れと反対側にラインを置くことで、仕掛けが引っ張られるのを防ぎます。
まとめ
二枚潮は「釣りにくい」状況であることは間違いありませんが、海の中で潮が動いている(変化がある)証拠でもあります。
上記のポイントを押さえておけば、慌てずに対処できます。
二枚潮を攻略できれば、ライバルに差をつける大きな武器になります。
ぜひ次回の釣行でこれらのアプローチを試してみてください。


